製作期間のバッファ(予備期間)の妥当な長さとは?

ミニカーやフィギュアを製作する際、製作期間全体の最後にバッファ(予備期間)を配置すると先日書きました。
新規でデザインを起こし、原型や金型を作成し量産するといういくつものステップをたどるため、
どこかで予期せぬ問題が起こり得ますから、バッファは必ず必要です。
ではどれくらいの期間が妥当なのでしょうか。

たとえば、
原型製作15日
金型製作25日
量産25日
輸送・通関10日 
合計75日
というフィギュア製作のプロジェクトがあったとします。

この場合、だいたい10-15日くらいのバッファを設定することが多いです。
そのため、75日にバッファの10-15日を加えた85-90日が全体の期間となります。

もちろん、早く作る方がよいので納期は最短を目指しますが、
各工程をたどっていく中で、大小の差はあれど何らかの問題が発生しますから、
バッファはそれなりに消費します。

バッファの消費理由としては、たとえば、、、

・原型の修正に予定より時間がかかった。
(修正理由は、監修面、クォリティ面などさまざま)
・金型の微調整に予定より時間を要した。
・量産時に不良の発生しやすい印刷工程が見つかり細心の注意を要した。
・船が遅れた、あるいは税関検査に引っかかった。
などなど。。。

もちろんいろいろなリスクを想定してプロジェクトを開始するのですが、
初めて作るものである以上、予期せぬことが発生するのは自然なことです。

なので、バッファは長いほど安全ですが、
あまりに長いとお客様の要望に応えられません。

というか、実際には意外と短くても大丈夫です。
その理由は、各工程間の相互依存性と統計的変動にあります。

たとえば、フィギュアの原型製作においてバッファを3日消費したとしても、
その後の金型製作では予定通り進んだり、、、

金型で問題があって5日消費したとしても、
量産や輸送・通関はスムーズに進んだり。

つまり確率的に、全ての工程で問題が起こるわけではないため、
全体としては意外に短いバッファで足りるということなのです。

それに、ミニカーやフィギュアの製作に経験があるほど、
予測し対策することで、問題の発生確率を減らすことができます。
(それでも予期せぬことは起こりますが。。。)

そう考えると、やはり経験こそ財産と言えるかもしれません。

Takuro