フィギュア製作ではPANTONEで色指定します

さて、今日はフィギュアづくりの工程に関して書きたいと思います。

フィギュアを製作する際、各パーツごとに色を決めていくのですが、その際にPANTONEで色の指示をします。

通常、ツヤ有り(Coated)とツヤ無し(Uncoated)を使い分けるのですが、ご覧のとおり同じ色番号でもだいぶ差がありますので、注意深く選ぶ必要があります。
(CがCoated、UがUncoated)

銀や金、蛍光色などについてもPANTONEで指定しますが、特殊な塗料となるため、通常は単価が少し上がります。

ちなみにミニカーの場合は、ボディカラーなどはメタリックな色ですとPANTONEで指定することができないため、

お客様から金属に塗装したカラー見本などを受け取って、それを基に色を調整していきます。

PANTONEは画像のように各チップを切り離せないものと、ミシン目が入っていて簡単に切り離せるものがありますが、やはり切り離せるものの方が便利です。

工場へ指示を出すときにチップを貼っておくことができますから。

色がなくなったら、補充することもできます。

ただ186C(赤)など、よく使用する色は減りやすいため、他の色は残っているのにシートごと買い換えないといけない事態が起こるのが玉に瑕です。

よく使う色シリーズとかがあると、売れるかもしれません。

業種別ランキングとか!?

PANTONE社に提案してみようかな(笑)。

それはいいとして、、、

フィギュアの生産前に試作品があがってきます。

塗装した状態の色を指定したPANTONEチップと比較し、色が正しく出ているかを確認します。

世界中の誰が見ても同じ成功基準があるということです。

非常にうまくできた仕組みであり、まったくもって感嘆するしかありません。

ただ一方で、PANTONEで表現されない中間色も存在します。

うーん、ちょっと違うんだけどなと思いつつも、この色とこの色の中間!という指示では成功基準がぶれることになります。

なのでそれは、やりません(キッパリ)。

よくよく考えると知らず知らずのうちに誰かが作った枠の中で仕事をしているとも感じます。

私たちも、お客様にPANTONEでご指定くださいと言ったりしていますから。。。

本当のオリジナルとは何なのでしょうか。既に誰かに作られた無機質な色である以上、部分的には模倣品ともいえることになります。

オリジナルとは何でしょうか。自然界にあるものはオリジナルと考えられるでしょうか。

そうだとするなら、あの新緑の葉っぱの色とか、春の桜の色で、とか指定することになります。

風流です。それもいいかもしれません。

ただ、世界中の人と仕事をしようとすると、日本のあの桜の色!と言っても伝わらないかもしれません。

まずは日本に呼んで、桜の美しさやはかなさを堪能してもらったうえでないと難しいでしょう。

余談ですが、中国映画「HERO」の衣装芸術を担当したワダエミさんは、

チャン・イーモウ監督のイメージを具現化するため、

ある赤い衣装の色を監督との打ち合わせ前に、100パターン作成して挑み、監督を感動させたそうです。

強い情熱に加え、大作映画を作るほどの費用と時間があれば、、、できるかもしれませんね(笑)。

ただ、私たちのお客様の多くはフィギュアを低予算・短期間で作りたいと思われていると思います。

そのご要望に応えるためには、当面は標準に乗っかっていきましょう(笑)。

Takuro