ミニチュア製作における予期せぬ問題とは(3)

さて、前回は原型製作の際、キャラクターのイラストを何らかの解釈をしてフィギュアの原型を作る場合は
模範解答がないため、見る人の主観に影響されるということを書きました。

さて、他には何かあるでしょうか。

あります(笑)

これは非常に初歩的な内容に思えるのですが、
原型を破損・紛失してしまうリスクです。

原型は粘土で作りますが、その後形状の承認が出ると、
それで型をとって、PU等の硬い素材で複製を作ります。

その複製は粘土と違って壊れやすいため、
落としたり、何かに引っ掛けたりすると破損してしまいます。
また、輸送時の衝撃で割れてしまうこともあります。
これについては修理すればなんとかなるのと、
梱包に気を使うことでリスクを抑えられるのですが、、、

最悪のケースは原型を紛失してしまうことです。
どこでなくなるかというと、、、
・日本で作った原型を海外に送る間の輸送時
・工場に着いてから作業中
といった具合です。

国際宅急便で送った荷物の行方がわからなくなることはそんなに頻繁にあることではないのですが、
過去に日本から中国に送った荷物がなぜかアメリカに着いてしまっていたことがありました。
それでも荷物が見つかればよいのですが、最悪のケースでは、なくなってしまうこともあります。

この場合、保険により金銭的にはなんとか補償されたとしても、
失った時間を取り戻すことはできません。
ミニカーやフィギュアを作る仕事は、まさに時間との戦いであり、
これこそが私達の仕事の肝といえます。
時間を失うことは、多大なる損失なのです。

また、工場で作業中にいろいろな人を介していくうちに
なくなることもあります。
これもめったに起こらない事態ではありますが、
作業現場というのは混沌とした状態であり、不意に集中力を欠いた時には、
うっかり見失ってしまうこともあるかもしれません。
人間ですからね。

これをリカバーするためには、
日本であらかじめ原型の複製をとっておくことです。
当然時間とコストがかかりますが、
それをやっておかなかった時のリスクを考えると、その方が安全です。

このように、ミニカーやフィギュアの原型製作には不確実性が潜んでいます。
ただし、予防手段をとることで発生率を抑えることができます。
初歩的なものから、あっと驚く意外なものまで、さまざまありますから、
実際にはやはりリスクを0にはできないのですが。

次回は、似たような原型を2種類作る場合の不確実性について書きたいと思います。

Takuro